分解作業
分解は少し苦労しました(笑)。筐体に張られているラベルシールの下にネジ穴があるのではないかと考えて指先で探ってみましたが、当初は見当たりませんでした。そこで筐体の周囲から爪を差し込んで筐体を繋ぎ止めている爪を外してみましたが、筐体の側面のプラスチック部品が外れそうにありませんでした。そこで少し開いた筐体の一部から懐中電灯で中を照らして観察してみると、ネジで繋げっているのを発見しました。そのネジの場所のラベルシールを剥がしてみるとネジ穴がありました。ラベルシールの下に隠れていたネジ穴です。 |
ネジはヘクスグローブの T6 サイズでした。中央にノッチのあるタイプでしたが、細いドライバを突っ込んでノッチを折りとった後、T6 ドライバでネジを取り外しました。このネジがやたらと長く、固く締まっていたので、取り外すのに苦労しました。
ヘクスグローブ T6 のドライバでネジを取り外しました。 |
筐体側面の内側には四箇所の爪を受ける部分がありましたが、全て破損してしまいました(涙) |
まず最初に目に飛び込んできたのは金属製の放熱板でした。小さな筐体なので、効率良く放熱する必要があったようです。
WTR54GS の放熱板です。 |
三本のネジで固定されている放熱板を取り外しました。この三本のネジも長さが長く、固く締まっていました。こんな長めのネジを使用する理由が不明でした。そして見えてきたボードの中央に制御のプロセッサの BCM5350 が搭載されていました。
WTR54GS の放熱板を取り外してボードが見えるようにしました。 |
そして筐体の内部からボードを取り外してみると、小さな電源ユニットが見えてきました。電源電圧を計測してみると 3.3 ボルトでした。
筐体の側面に部品に電源ユニットが固定されていました。 その隙間にボードの部品が嵌り込む形状となっていました。 |
このめくり上げたボードの裏側を観察するとシリアルコンソールのピンヘッダが取り付けられていました。後で動作確認でピン配置は画像の中の注記の通りになっていました。
WTR54GS のシリアルコンソールのピンヘッダです。 左側の黄色く注記したのがピン配置です。 |
そして内蔵アンテナが二本ありました。それぞれ直角の位置関係で取り付けられていました。このような小型の機器の場合、プリント印刷基盤の表面に作ってしまう場合が多いものですが、本機では独立したアンテナとなっていました。
WTR54GS の二本のアンテナです。 |
シリアルコンソールの動作確認
当初ボード表面に描かれている記号に従って Din を入力の Rx として、Rout を出力の Tx としてシリアルコンソールのケーブルを接続してみましたが、動作しませんでした。そこで Rx と Tx を入れ替えてみたところ動作するようになりました。通信速度は 115,200bps でした。WTR54GS のシリアルコンソールの動作確認の様子です。 |
起動画面では VxWorks のロゴマークが表示されていました。
WTR54GS の起動時のロゴマーク |
この起動ログを観察してみると、フラッシュメモリ(SPANSION S29AL01690TFI02)は 2MB で、メモリ(MIRA P2V64S506TP-G6)は 8MB の容量となっていました。この容量では、安易に DD-WRT や OpenWrt のファームウェアをインストールすることは難しそうです。
JTAG 端子
ネット上で WTR54GS に JTAG 端子が装備されている画像を発見しましたが、残念ながら本機には JTAG 端子は存在していませんでした。プリント印刷基盤の設計変更を行ったようで、ちょうど JTAG 端子があった場所が空白地帯となっていました。Linksys WTR54GS v1.0 - InfoDepot Wiki
http://infodepot.wikia.com/wiki/Linksys_WTR54GS_v1.0
古いバージョンでは黄色くマークした部分に JTAG 端子が存在していました。 |
今後の予定
当初、新しくファームウェアをインストールする予定でしたが、フラッシュメモリが 2MB で、システムメモリが 8MB ととても貧弱な環境のため、ファームウェアをインストールすべきなのか悩んでいます。いちおう DD-WRT の WTR54GS v2.0 用のものがフラッシュメモリ 2MB、メモリ 8MB に対応したものとなっているようです。JTAG 端子が存在していれば、フラッシュメモリを 4MB のものへ交換した後、JTAG 経由でフラッシュメモリへファームウェアを焼き付けることも可能ですが、現状では私には手出しが出来ない状況です。
またシステムメモリの SDRAM を 16MB のものへ交換すれば、動作上の余裕も出そうです。
いろいろと悩ましいものを手にしてしまったようです。
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