2015年6月3日水曜日

Linksys SPA3102 (偽物?)を入手しました

リンクシス社の VoIP アダプタの SPA3102 の偽物と思われる製品をインターネット・オークションにて入手しました。もちろん偽物だと思わずに入手したものです。下記の PAP2 の偽物の情報を参考にして MAC アドレスが Cisco のものだと確認して落札したものでした。がしかし・・・偽物なのです。

今回入手した 偽物と思われる SPA3102 です。

ちょっと気分が下げ気味です。インターネット・オークションでは、いろいろな製品で偽物が出まわっていますが、リンクシスの VoIP アダプタの PAP2 の偽物(Fake)は有名です。次のウェブサイトを参照してください。
VoIP Fan - Check if a PAP2/PAP2T is genuine
http://voipfan.net/other/fakepap2.php

私も以前 PAP2 の偽物を掴まされて痛い思いをしました。アナログ・ポートの2番が雑音がひどく使い物にならなかった PAP2 を入手しましたが、これが MAC アドレスを調べてみると、Linksys や Cisco の登録番号ではないという真っ赤な偽物でした。
二台目となる Linksys PAP2-NA を入手しました。
http://near-unix.blogspot.jp/2013/09/linksys-pap2-na.html

偽物の理由

今回入手した SPA3102 はどうして偽物だと判断したのかは、いくつか理由があります。

なお本物の画像は下記のウェブサイトのものだと思います。
Linksys SPA3102 - VOIP-Info.jp Wiki
http://www.voip-info.jp/index.php/Linksys_SPA3102

筐体の質感

以前偽物であった PAP2 と同じ質感の筐体であったからです。表面のメッキ塗装の部分がギラギラした質感が同一でした。正規品とはメッキ塗装が異なります。
またゴム足の周囲に発生しているプラスチックの引け(※1)が似た形で出ていることも偽物の工場で同じように製造されたものと判断しました。なお正規品の PAP2 には引けが見当たりません。
そして表面と裏面に貼ってあるラベルシールの湾曲した部分が同様に剥がれていたことも、同じ偽物の工場で同じように作られたシールだと思われました。
そしてゴム足は、正規品が角が面取りしてあるのに対して、 偽物はゴムを切り出したままの状態となっており、これも偽物と同じ形状をしていました。
その他にも Cisco の吊り橋をイメージしたロゴマークが表面に見当たらないことも偽物の可能性が高い理由の一つです。

※1:プラスチック筐体の厚みの違いにより、高温高圧で注入したプラスチックが冷える過程で、厚みが大きい部分ほど、収縮が大きくなる傾向があり、平面の部分が裏面にある形状の厚みの変化で微妙に凹凸が発生する様子を示します。

偽物と思われる SPA3102 の表面です。
偽物と思われる SPA3102 の裏面です。
MAC アドレスは Cisco 社のものでした。

そして台座部品が決定的に違いました。本物はメッキ塗装とメーカ名と製品名の印字が行われいて、さらに正規品には内部におもりが入っているようで、思わさがあるのに対して、偽物は空洞の軽いものでした。
追記:どうも塗装していない台座が正規品でも出回っているようです。(2015-06-04)

上が偽物、下が本物
左が本物の台座、右が偽物の台座の裏面です。

パッケージの疑問点

そして本物のパッケージはどのようなものか不明ですが、リンクシスの VoIP 製品らしいパッケージに収納されていました。しかしパッケージにメーカ名はありますが、製品名となる型番がどこにも表示されていないのです。さらにシリアル番号と MAC 番号を記述したシールを貼り付ける部分が空白なっていました。
なお同様のデザインの IP 電話機の SPA941 のパッケージが手元にありますが、これでは側面に製品名やシリアル番号、バーコードを含めて印刷された一枚もののシールが貼り付けられていました。リンクシスの製品のパッケージ仕様と異なっていました。

パッケージにはメーカ名のみで型番が見当たりません。
ネットワーク機器にはつきものの MAC アドレスなどもありませんでした。

動作不良の電源アダプタ(5ボルト2アンペア仕様)

そして決定的だったのが電源アダプタでした。いかにも怪しい外観のアダプタで、リンクシスの VoIP 製品に付属しているものと全く外観が異なっていました。アダプタ本体のどこにも Cisco や Linksys の文字がありません。そして AC コンセントへの差し込み金具(電極)の部分がいろんな意味で問題です(爆笑)。

付属していた電源アダプタです。

さらにこの電源アダプタで SPA3102 を動作させようとしたところ、起動しそうで起動しない状況となっていました。正規品の電源アダプタで動作を試みたところ、動作を開始しました。無負荷時の電源電圧を計測すると 4.2 ボルトほどありましたが、おそらく SPA3102 を動作させるときには、もっと電圧が降下して動作しなくなったものと思われました。こんな不良な電源アダプタが付属している時点で偽物確定です。

動作確認

せっかく入手した SPA3102 ですので、動作確認をしてみました。FXO の部分は確認をしませんでしたが、アナログ電話機を接続する FXS の部分と WAN ポートから自宅の Asterisk サーバへ接続する部分をチェックしました。意外と問題なく動作しました(苦笑)。


ファームウェアのアップデート

さらに正規品向けのファームウェアを Cisco のウェブサイトからダウンロードして、ファームウェアをアップデートしてみました。なんと正常に書き換えてしまいました(笑)。どうも内部回路の部分は正規品と同等の内容のようです。もちろん安価な部品をてんこ盛りで使っているのでしょうが・・・。

入手時のファームウェア 5.1.10(GW)
アップデート後のファームウェア 5.2.13(GW002)

セキュリティ対策?

この SPA3102 は、もう偽物と考えていますので、このまま自宅の Asterisk サーバにそのまま接続していると、勝手に外線電話を使われる可能性もあり心配です。正規品のファームウェアに書き換えたので、危険性はかなり下がっていると思いますがそれでも心配です。上記の動作確認中も WAN 設定のゲートウェイ部分は、DHCP 自動設定ではなく、手動で設定を行なって、実際に使われていない無効な IP アドレスを設定していました。内線での通話テストですので、外部の IP アドレスへアクセスする必要はないのです。さらに外部へ通じる光回線のルータ側で遮断してしまえば完璧なのでしょう。しかしもうこの怪しい SPA3102 を使用しないのが最も安全な対策のようです(涙)。

偽物に注意

読者さんも偽物を掴まないように注意しましょう!
今回のオークションの落札もよい経験となりました(笑)。リンクシスの PAP2 だけでなく SPA3102 にも偽物が出回っているということが判りました。VoIP のテレホンアダプタなどは、どれも生きの長い製品が多く、不正にコピー商品を作る業者にとっては美味しい商品のようです。特に名の知れたリンクシスの VoIP 製品は注意が必要のようです。

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