経緯
元々、本機(VTL-TA02X)は、フレッツ光プレミアム時代に NTT 西日本よりレンタルされていた VoIP アダプタの AD-100SE から出力されるアナログ・ラインを再び VoIP 信号として変換して自宅サーバの Asterisk へ導くための変換器として使用していました。かつてのフレッツ光プレミアム時代の構成 右端に VTL-TA02X があります。 |
フレッツ光プレミアム から フレッツ光ネクスト隼 へ切り替えたとき、ホームゲートウェイの PR-400NE から直接 Asterisk へ接続するように変更したため取り外していたものでした。
その後、VoIP サービスの EKIGA の動作確認などに使用していていました。当初は、アナログテレホンアダプタとして単純に家庭内の LAN 内から外部の ekiga.net へ接続するようにしていました。ある日、PPPoE で直接外部でアクセスしてみることを思い立って実行してみたところ、上手く接続できませんでした。単純に接続出来ないだけであったなら何ら問題はなかったのですが、その後、一切 LAN 経由で内部の設定画面へアクセスできなくなってしまいました。どうも本機の PPPoE で使用できるパスワードは 16 桁までしか設定出来ないようで、30桁ぐらいのパスワードを設定すると最初の 16 桁までしかパスワードとしてプロバイダへ発信しない仕様となっていたようです。問題はこの PPPoE の接続が成功しないと、そのままハングアップしてしまうことでした。さらに悲惨なことは、本機にはリセット(初期化)ボタンが存在していないことでした。そのため、初期化が出来ないため、何も手出しができなくなってしまいました。
そこで本機の背面にある RS232C ポートからシリアルコンソールへアクセスすることが出来れば、何か対策が打てるのではないかと考えました。しかし RS232C ポートは普通のオス型のソケットではなく、メス型のソケットとなっており、普通の RS232C のクロスケーブルを接続することができなくなっていました。後で判明したことですが、どうもこの RS232C ポートへ接続するケーブルは D-sub 9 ピンの延長ケーブル(ストレート)で接続すれば良かったようです。
普通の RS232C クロスケーブルが接続できるように、廃棄したパソコンのマザーボードに搭載されていた RS232C のオス型ソケットを取り外して、本機(VTL-TA02X)のものと交換してみることとしました。もちろん単純に交換しても動作しないことは解っていたため、必要な信号線の入れ替えも行いました。しかし動作しなかったことから、ずっと放置したままの状態にしていました。
今回、この VTL-TA02X の RS232C ソケットの交換作業のつづきを行なって、シリアルコンソールへ接続をして、無事シリアルコンソール上から初期化を行うことができました。そして再度アナログテレホンアダプタとして活用できる状態に戻すことができました。
RS232C ソケットの交換
以前行った加工の様子も写真に撮影していたはずなのですが、何故か発見することができませんでした。今回の記事は、この RS232C ソケットの交換が終わった後の部分からとなります。
すでにオス型の RS232C ソケットへ交換したところです。 上は普通の RS232C クロスケーブルのプラグです。 |
まず前回行なっていた加工の確認を行いました。U24 に RS232C の変換チップがあります。RS232C ソケットから Rx と Tx のラインがこの U24 へ 22Ω の抵抗器を介して接続されています。この 22Ω の抵抗器の手前部分で Rx と Tx のパターンを切断しました。そしてそれぞれをクロスするように配線しました。しかしこれは勘違いで間違えでした。それは RS232C のソケットをメス型からオス型へ交換したとき、ピン配置が逆転していたためでした。
U24 の周辺の様子です。 黄色い破線は裏側でパターンが接続されている様子を示しています。 |
U24 へ接続する裏面のパターンを切断したところです。 |
これは間違った加工ですが、TX と Rx のラインを交換して配線したところです。 |
メス型 オス型
#1 ---- #5
#2 ---- #4 -- Tx(パターンカットする前の信号)
#3 ---- #3 -- Rx(パターンカットする前の信号)
#4 ---- #2
#5 ---- #1
#6 ---- #9
#7 ---- #8
#8 ---- #7
#9 ---- #6
そこでメス型のとき #2 ピンだったラインを使用せず、新しくリード線を使って Rx ラインを接続しました。R242 と RS232C ソケットの #2 を接続しました。
Rx のラインをリード線で配線したところです。 |
この信号ラインの他、RS232C ソケットの GND ラインも変更しました。
RS232C ソケットの GND ラインの切断 元々 #5 ピンとして GND が接続されていた場所は、新しく #1 ピンになっているためです。 |
オス型ソケットの #5 ピンへ GND ラインを追加しました。 そして Rx ラインもオス型の #2 へ接続しました。 プリント印刷基盤が黒く焦げているのは、若気の至でガスライターで炙ってソケットを外したためです。 |
これらの加工によって、ようやく RS232C でパソコンと通信ができるようになりました。ちなみに通信速度は 57600bps です。
RS232C ケーブルでシリアルコンソールにアクセスしているところです。 |
VTL-TA02X の初期化
シリアルコンソールへ接続した後、ユーザ名:admin、パスワード:admin でコンソールにログオンできます。作業中は繰り返し PPPoE 接続をリトライしている表示が次々に流れてゆくので、とても作業が難しい状況でしたが、頑張って作業しました(笑)。
最初はネットワーク設定を変更して対処しようと試みました。コマンドの "config net" でネットワーク設定のモードへ移行します。ここでネットワークの設定を PPPoE 接続から DHCP モードへ変更しようとしましたが上手く行うことができませんでした。 そして静的な IP アドレス設定も試みましたが出来ませんでした。
ネットワーク設定のモードを抜けるために "exit" コマンドで基本モードで戻りました。電源の入り切りで、パスワード・ログオンした直後が基本モードです。この基本モードで工場出荷状態に戻すコマンドがあることを発見しました。"xdef" コマンドです。設定してあるパスワードと一緒に実行すると、「本当に実行するのか?」と問い合わせあり、再度同じように xdef コマンドを実行すると初期化されます。
xdef admin -- 一回目
問い合わせ
xdef admin -- 二回目
初期化開始
加工が終わったボードを筐体へ組み込むところです。 |
VTL-TA02X の設定
初期化の後、自動的に再起動されて立ち上がってきます。ここから Windows パソコンからネット経由でアクセスを行います。Windows パソコンを使用するのは、ブラウザに Internet Explorer を使用しなければならないためです。Firefox では何故か設定画面のページ変更が出来ないのです。今回も Firefox 41.0.2 で確認しましたが、ページ変更が出来ませんでした。ただし初期化された IP アドレスは、マニュアルにある 192.168.192.200 ではなく、1.1.1.1 となっていました。これはシリアルコンソールのブートログで発見しました。Internet Explorer から 1.1.1.1:9999 (IP の 1.1.1.1 のポート 9999 の意味、ポートの指定がないと 80 となる)へアクセスして設定を行いました。
IP アドレスの設定や VoIP 関係の設定を自宅サーバの Asterisk へレジストするように設定しました。そして通話試験を行ったところ、無事通話が成功しました。
通話試験も完了した VTL-TA02X です。 |
もうアナログテレホンアダプタを使用する機会はなくなりましたが、比較的音声信号が綺麗に聞こえる機種ですので、他のアナログテレホンアダプタが故障したときの交換用としてずっと保管しておきたいと思っています。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。