玄箱 HG へ大容量ハードディスクを搭載したことを前提としたインストールを行ってみました。この記事は、そのまま玄箱(初代)にも対応出来ます。
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大容量ハードディスク向けインストールを行った玄箱 HG です。 |
背景
今までは、第三パーティションへ Debian Jessie によるファームウェアをインストールすると同時に、同じ領域へそのままデータも保管していました。そのデータ保管領域を第四パーティションへ用意して、ネットディスク専用としてデータを保管させるようにしました。
/dev/sda1(Ext3, 2GB):玄箱 HG オリジナル・ファームウェア
/dev/sda2(Swap, 256MB):スワップ領域
/dev/sda3(Ext3, 2GB):Debian Jessie によるファームウェア
/dev/sda4(Ext4, 残り全部):データ保管領域(新規)
データ専用の第四パーティションを用意することで、ジャーナリング機能が強化された Ext4 フォーマットを使用できるメリットがあります。またデータ保存領域をいっぱいまで使用してもシステム領域の第三パーティションには影響を与えないため、システムの安定動作に繋がります。さらにファームウェアを大きく入れ替える場合にも、データ領域に影響を与えることなく作業をすることができるなど、様々なメリットがあります。
パソコンを使用したインストール
今までは、ハードディスクを玄箱 HG へ装着した状態でインストールを行っていました。今回は、ハードディスクをデスクトップ・パソコンへ接続して作業を行いました。今まではデータを転送して、展開しながらインストールするなど、いくつも段階を経てインストールをする必要がありましたが、パソコン上からインストールするときには手順が簡略化することができます。
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ハードディスクを取り出すために分解した玄箱 HG です。 |
u-boot 1.2.0 のインストール
この記事の前提としては u-boot 1.2.0 が、すでにインストールされているものとして記述しています。u-boot 1.2.0 のインストールは、下記の記事を参考してインストールを事前に済ませておいてください。なお初めて玄箱(初代、HG)へ弊ブログの Debian Jessie をインストールする場合には、u-boot 1.2.0 だけでなく、全体のインストールを行って動作が出来ることを確認した後、この大容量ハードディスク向けのインストールを行ってください。
玄人志向 玄箱用 Debian Jessie 通常版(カーネル3.16 版)
http://near-unix.blogspot.jp/2016/01/debian-jessie-316.html
ハードディスクのパーティショニング
玄箱 HG のハードディスクをデスクトップ・パソコンへ接続して、パーティショニングから始めます。せっかくの機会ですので、パーティショニングを行う前にハードディスクの事前チェックを行うことをお奨めします。
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玄箱 HG のハードディスクをパソコンへ接続したところです。 |
fdisk コマンドでハードディスクのパーティション(領域)を設定します。ここでは玄箱 HG のハードディスクが /dev/sdb となっていることを前提としています。
# fdisk /dev/sdb
DOS タイプの区画作成
小文字のオー "o" (リターン)
次のように順番にキー入力します。
第一パーティションの作成
n > p > 1 > (default) > +2048M(リターン)
第二パーティションの作成
n > p > 2 > (default) > +256M(リターン)
第三パーティションの作成
n > p > 3 > (default) > +2048M(リターン)
第四パーティションの作成
n > p > 4 > (default) > (default)(リターン)
第二パーティションを SWAP領域へ変更
t > 2 > 82 (リターン)
設定の保存
w(リターン)
ファイルシステム作成(フォーマット)
パーティショニングが終了したハードディスクへファイルシステム(フォーマット)を作ります。この場合、u-boot 1.2.0 から起動する /dev/sdb1 と /dev/sdb3 は、Inode サイズの指定(
-I 128、オプションは大文字の
" I " アイ)を行ってフォーマットしてください。なお Ext4 フォーマットを行う /dev/sdb4 では Inode サイズの指定は不要です。
# mke2fs -I 128 -j /dev/sdb1
# mkswap /dev/sdb2
# mke2fs -I 128 -j /dev/sdb3
# mkfs -t ext4 /dev/sdb4
玄箱 HG オリジナル・ファームウェアのインストール
まず第一パーティションへ玄箱 HG のオリジナル・ファームウェアをインストールします。オリジナル・ファームウェアは、玄箱 HG 付属の CD-ROM を使用するか、玄人志向のウェブサイトからダウンロードしてきます。ダウンロードしたファイルの中から
tmpimage.tgz を探し出します。image.zip の中に圧縮された状態で保管されていますので、丹念に探してください。
第一パーティションのマウント
# mount /dev/sdb1 /mnt
ファームウェアの展開・インストール
# tar zxvf tmpimage.tgz -C /mnt
第一パーティションのマウント解除
# umount /mnt
Debian Jessie のインストール
弊ブログで配布している玄箱用(初代、HG 両用)のファームウェア類(三種類)をダウンロードしてください。
玄箱 Debian Jeesie のダウンロードサイト - グーグルドライブ
https://drive.google.com/folderview?id=0B5QdaY5lu2e3VlNQejlFYVBDS2c&usp=sharing
kuro-kern.tgz(およそ 3MB)
kuro-lib.tgz(およそ 3MB)
kuro-samba-rootfs.tgz(およそ 256MB)
第三パーティションのマウント
# mount /dev/sdb3 /mnt
ダウンロードした三つのファイルを次の順番で展開・インストールしてください。
# tar zxvf kuro-samba-rootfs.tgz -C /mnt
# tar zxvf kuro-kern.tgz -C /mnt
# tar zxvf kuro-lib.tgz -C /mnt
/jessie ディレクトリの作成(システムアップデートで使用します)
# mkdir /mnt/jessie
/etc/fstab の修正
fstab のファイルの中には、大容量ハードディスク向けのインストールに備えて準備が行われています。/dev/sda4 の行の前にある
"#" マークを削除してください。
# vi /mnt/etc/fstab
#/dev/sda4 /mnt ext4 defaults,noatime,errors=remount-ro 0 0
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/etc/fstab の編集 |
第三パーティションのマウント解除
# umount /mnt
ネットディスク用データ保存領域の設定
第四パーティションのマウント
# mount /dev/sdb4 /mnt
/mnt/kuro-box ディレクトリの作成(初期のデータ保存ディレクトリ)
# mkdir /mnt/kuro-box
# chmod 777 /mnt/kuro-box
第四パーティションのマウント解除
# umount /mnt
以上でハードディスクへのインストールは終了です。
ハードディスクを玄箱 HG へ戻して起動させます。問題がなければ Debian Jessie が起動するはずです。
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ハードディスクを装着し直した玄箱 HG です。 |
初期設定
無事 Debian Jessie が起動したところで、シリアルコンソール または telnet でログイン(ユーザ:root、パスワード:kuro)を行い、初期設定を行います。
-- 玄箱 --
Debian GNU/Linux 8 kurobox ttyS1
kurobox login: root
Password: kuro
Last login: Tue Jan 19 15:17:41 JST 2016 on ttyS1
Linux kurobox 3.16.7-ckt11_Livingston #14 Tue Jan 19 04:45:30 UTC 2016 ppc
The programs included with the Debian GNU/Linux system are free software;
the exact distribution terms for each program are described in the
individual files in /usr/share/doc/*/copyright.
Debian GNU/Linux comes with ABSOLUTELY NO WARRANTY, to the extent
permitted by applicable law.
root@kurobox:~#
インストールしたファームウェアのシステムの依存関係の整理を行います。
-- 玄箱 --
# depmod -a
パスワードの再設定を行ってください。パスワードの変更は強くお奨めします。
-- 玄箱 --
# passwd
Enter new UNIX password:
Retype new UNIX password:
passwd: password updated successfully
スワップ領域が使用されていることを確認してください。
-- 玄箱 --
# swapon -s
Filename Type Size Used Priority
/dev/sda2 partition 262140 0 -1
データ保管領域の /dev/sda4 が /mnt へマウントされていることを df コマンドで確認してください。
-- 玄箱 --
# df
Filesystem 1K-blocks Used Available Use% Mounted on
/dev/root 2015056 595692 1314508 32% /
devtmpfs 62468 0 62468 0% /dev
tmpfs 62564 0 62564 0% /dev/shm
tmpfs 62564 5516 57048 9% /run
tmpfs 5120 0 5120 0% /run/lock
tmpfs 62564 0 62564 0% /sys/fs/cgroup
/dev/sda4 153792412 60868 145896212 1% /mnt
ネットワーク上に表示されるホスト名を変更する場合には、/etc/hostname を編集してください。複数の玄箱を運用する場合にはホスト名の変更は必須です。
-- 玄箱 --
# vi /etc/hostname
kurobox ----> kurobox-hg とか?
システム内のソフトウェアの更新を行ってください。
-- 玄箱 --
# apt-get update
# apt-get upgrade
一度電源を切って コンセントも抜いた後、本体電源スイッチを押して再起動させます。
-- 玄箱 --
# poweroff
以上で大容量ハードディスク向けインストールは終了です。動作確認を行ってください。
障害対策
予想される障害として、ネットディスクの
kuro-box へパソコンから書き込みを行おうとすると書き込みが出来ずエラーとなる場合は、/mnt/kuro-box のファイル権限を確認してください。下記の青文字のようになっていれば問題ありません。
-- 玄箱 --
# ls -l /mnt
total 20
drwxrwxrwx 2 root root 4096 Mar 24 23:03 kuro-box
drwx------ 2 root root 16384 Mar 24 18:44 lost+found
もしも違う場合には chmod コマンドで修正してください。 そして上記の ls -l コマンドでファイル権限を確認してください。
-- 玄箱 --
# chmod 777 /mnt/kuro-box