今回 DD-WRT や Tomato のファームウェアをインストールした WRT320N です。 |
じつのところ、最近お気に入りの Shibby 版の Tomato ファームウェアをインストールしようとしたところ、ファームウェアのファイルサイズが大きいため、WRT320N に元々入っていたオリジナルのファームウェアではアップグレードの手順でインストールすることができませんでした。この現象は、古い WRT54G などの無線 LAN ルータでも見られる現象で、DD-WRT のファームウェアの内、容量の小さな mini や micro の記号がついたファームウェアを一旦インストールした後に、目的のファームウェアをインストールすれば成功します。
今回の DD-WRT をインストールした時点と、Tomato をインストールした時点で通信転送速度の計測を行いましたが、Tomato ファームウェアにおいて、IEEE 802.11 a と 5GHz 帯の IEEE 802.11 n の通信が出来ないなどの問題が発生したため、Tomato ファームウェアについては参考程度のデータとしてみてもらいたいと思っています。(注記:記事の最後に追記があります。Tomato も安定していました。)
LED ランプは黄色と青色の二色切替タイプのものが使用されています。 |
DD-WRT ファームウェアのインストール
まず最初に Linksys 社のオリジナルファームウェアから DD-WRT のミニ・ファームウェアのインストールを行います。以下の DD-WRT の公式ウェブサイトを参考にしました。Linksys WRT320N v1.0上記のインストールの解説のページでは、次の Build 14471 のものを使用するように指示しています。ここでは冒険をすることなく、確実に動作するファームウェアをインストールするべきでしょう。
http://www.dd-wrt.com/wiki/index.php/Linksys_WRT320N_v1.0
ftp://ftp.dd-wrt.com/others/eko/V24-K26/svn14471/dd-wrt.v24-14471_NEWD-2_K2.6_mini_wrt320n.bin
ブラウザでの設定画面の中で [Administration] のタブの中の [Firmware Upgrade] のところで、ファームウェアを指定して [Start to Upgrade] のボタンを押せば、インストールが開始されます。そして、自動的に再起動するまで待つだけです。途中で電源を切ることは厳禁です。
WRT320N のアップグレード画面から DD-WRT をインストールします。 |
インストールに成功するとこんな白黒の画面に 「アップグレード成功」と表示されます! |
DD-WRT ファームウェアのアップグレード
DD-WRT のミニ・ファームウェアがインストールできたところで、すぐに最新の Build 21061 のファームウェアを同様にしてインストールします。インストールが成功すると自動的に再起動します。なおこの DD-WRT のミニ・ファームウェアも何故か Tomato のファームウェアをインストールすることができませんでした。最新の DD-WRT ファームウェア(Build 21061)から出来ました。
Tomato ファームウェアのインストール
DD-WRT のブラウザのアップグレード画面から Tomato ファームウェアを指定して、インストールを行います。DD-WRT のファームウェアのアップグレード画面です。 |
使用した Tomato ファームウェアは Linksys E2000 用のものです。
tomato-E2000-NVRAM60K-1.28.RT-MIPSR2-124-Max.bin再起動に成功すればインストール成功です。
http://tomato.groov.pl/download/K26/build5x-124-EN/tomato-E2000-NVRAM60K-1.28.RT-MIPSR2-124-Max.bin
通信転送速度の計測
Linksys社オリジナルのファームウェアと DD-WRT ファームウェアと Tomato ファームウェアでそれぞれ通信転送速度を計測してみました。 測定条件としては、FTP 転送で、およそ 100MB の単一ファイルをダウンロードする速さを五回計測して、平均値を求めるものです。上記のとおり、Tomatoファームウェアでは 5GHz 帯の IEEE 802.11 a と n で通信が出来ませんでした。症状としては、一瞬はつながり、DHCP で IP アドレスの設定も行える場合もあるのですが、数秒で通信が切れてしまうのです。原因は不明です。
また全てのファームウェアで 5GHz 帯の IEEE 802.11 n の通信の内、帯域を 40MHz に設定すると、やはり通信が不安定となってしまうため、計測を断念しました。
まずは 2.4GHz 帯の IEEE 802.11 g と IEEE 802.11 n についての測定結果です。
★ 通信転送速度 IEEE 802.11 g の計測結果 ★
オリジナル・ファームウェア : 2,605KB/s ( 20,846Kbps )DD-WRT ファームウェア : 2,672KB/s ( 21,381Kbps )
Tomato ファームウェア : 2,813KB/s ( 22,510Kbps )
★ 通信転送速度 IEEE 802.11 n (20MHz) の計測結果 ★
オリジナル・ファームウェア : 6,986KB/s ( 55,891Kbps )DD-WRT ファームウェア : 5,858KB/s ( 46,868Kbps )
Tomato ファームウェア : 5,590KB/s ( 44,721Kbps )
★ 通信転送速度 IEEE 802.11 n (40MHz) の計測結果 ★
オリジナル・ファームウェア : 7,070KB/s ( 56,560Kbps )DD-WRT ファームウェア : 6,470KB/s ( 51,760Kbps )
Tomato ファームウェア : 測定不能
次に 5GHz 帯の IEEE 802.11 a と IEEE 802.11 n についての測定結果です。
★ 通信転送速度 IEEE 802.11 a の計測結果 ★
オリジナル・ファームウェア : 3,467KB/s ( 27,742Kbps )DD-WRT ファームウェア : 3,116KB/s ( 24,931Kbps )
Tomato ファームウェア : 測定不能
★ 通信転送速度 IEEE 802.11 n (20MHz) の計測結果 ★
オリジナル・ファームウェア : 8,975KB/s ( 71,804Kbps )DD-WRT ファームウェア : 7,628KB/s ( 61,029Kbps )
Tomato ファームウェア : 測定不能
感想
上記の通り、三つのファームウェアを比較してみました。やはり Linksys 社のオリジナル・ファームウェアが一番通信速度が速いという結果となりました。また計測したデータのばらつき具合でも現れていますが、オリジナルのファームウェアが通信中も安定してデータを転送していました。どうも現在の時点では、オリジナルのファームウェアに軍配が上がります。VPN 通信を行いたいなどの理由がなければ、オリジナルのファームウェアで運用するのが一番効率のよい運用ができそうです。追記 2015-02-26
その後、Tomato ファームウェアの動作が不調な件について調べていたのですが、どうも通信転送速度計測に使っていたパソコンの OS 側か、パソコンに装着していた無線 LAN アダプタ(CG-WLCB300AGN)のドライバに何らかの問題がありそうです。通信転送速度計測時には Puppy Linux 5.7.1 JP を使用していました。無線LANアダプタに適用されていたドライバは rt2800pci でした。この状態で IEEE 802.11 a モードの動作が不安定になっていました。
しかし Debian Wheezy において動作確認を行なってみたところ、IEEE 802.11 a モードでも 5GHz 帯の IEEE 802.11 n モードにおいても、安定して通信することができました。
一体どうしたことなのでしょう!
5GHz 帯の IEEE 802.11 a や n の無線 LAN アダプタをほとんど所有していないため、他の無線 LAN アダプタではどうなるのか?検証が出来ない状態となっています。linux 用のドライバのない 5GHz 帯の無線 LAN アダプタは若干持ち合わせているので、ndiswrapper を使用するなどをして、5GHz 帯の動作状況の確認も行なってみたいと考えています。
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