ページ

2015年10月6日火曜日

横河電機 2506A マルチメータを入手(故障品でした)

先日、三和のマルチメータ CD771 を購入したばかりでしたが、何となく気になっていた AC 電源で連続して使用出来るマルチメータも欲しいと思っていました。そこでインターネット・オークションにて落札してきました。落札したのは表題の通り、横河 2506A という型番のマルチメータです。


故障の様子

早速、乾電池や無線 LAN ルータの電源アダプタの電圧を計測してみたり、抵抗器の抵抗値を計測してみました。

残念ながら故障品でした。測定値がバラバラと安定せずに変化し続けるのです。しかし 1.5 ボルトの乾電池は意外と安定して測定できるのです。12 ボルトの電源アダプタなどは全く計測出来る状況ではありませんでした。

ただいろいろ測定レンジの切換を行なってみると、特定のレンジ(最大電圧レンジ側)で何故か安定して測定できるのです。これは抵抗器の抵抗値の測定でも同様の傾向がありました。

何となく測定値が安定しないのは電源が故障して変動している可能性を疑いながら分解してみることとしました。

分解作業

ノートパソコンや無線LANルータの分解を数多く行なっていることもあり、この筐体もはめ込み式の筐体ではないかと思っていました。しかし予想に反して底面にある三本の長めのネジを取り外すと底側の筐体を取り外すことができました。そして見えてきた内部の電子部品の塊を引き上げるとすっぽりと抜けてしまいました。あまりにあっけない分解でした。内部にはニッカド充電池があり、AC 電源が無くても稼働できるタイプのものであることをここで知りました(苦笑)。電池の製造年月日が1994年8月とあり、このごろに本機が製造されたものと思われました。

2506A の底面です。三本のネジを外すと筐体の底側が外れました。
筐体の底側を外してプリント印刷基盤が見えるようになったところです。
残っていた筐体上部から中身を引っ張りだしたところです
内部のアルミ製のケースの中に収まっていたニッカド充電池です。
もう 20 年以上前の製品ですので、事故防止のために取り外しておきました。

清掃と再ハンダ付け

プリント印刷基盤の表面にはホコリなどがありましたので簡単に清掃しました。そしてハンダ付けが素人のやっつけ仕事のようなあまりに酷い状態だったので、手作業で行われていたハンダ付けの気になる部分を再ハンダ付けしてみました。

清掃と再ハンダ付けで動作状態を確認すると、何と!無事動作するようになりました。このときには、これらの清掃や再ハンダ付けで調子を取り戻したものと思っていました。


動作が再び不調に

再度、いろいろな電圧を計測して動作確認をしていると、再び、測定値が安定しない症状が発生していました。そこで再度分解して、異常な部品はないかルーペを使いながら確認してみました。

するとプリント印刷基盤の裏側にある手作業でハンダ付けされた P-ROM のチップ(HD44820)の足のハンダが浮いているように見えました。そこでこのチップのリードを丹念に再ハンダ付けしてみました。これで安定して動作するようになりました。一時間ほど放置して様子を観察しましたが、測定値が不安定になる症状は発生しませんでした。

リードが浮いていた P-ROM チップです。
写真は再ハンダ付け済みです。

私の勝手な想像ですが、この P-ROM はいわゆる「 ROM テーブル」として使用されていたのではないかと思っています。A/D 変換したバイナリデータを表示部の 7 セグメント液晶表示器に必要な形にデータを変換する内容が書き込まれています。A/D 変換器からの出力がこの ROM テーブルのアドレスラインに接続されて、そしてデータライン側には 7 セグメント液晶表示器に接続されて、測定値をプロセッサなどを経由せずに直接表示させる構造です。

特定のアドレスラインが上手く接続されていないと、A/D 変換の僅かな値の変化に対応せず、表示値が大きく変化してしまったものと思われました。

再度確認と校正

再度乾電池などを計測してみました。そして三和のマルチテスタ CD771 と比較してみました。計測値にはそれなりの差異が発生していました。こんなことはよくあることですが、困った問題もありました。測定端子を電線でショートさせても値がゼロにならないことでした。抵抗値の場合には僅かな抵抗値があるとも考えられますが、電圧の方は困りものです。

そこで意を決して、内部にたった一個だけあるポテンショメータを触ってみることとしました。直ぐ近くに Vref と Comm の端子があり、ここの電圧を CD771 で計測すると 4.9 ボルトほどでした。ポテンショメータを動かすとこの電圧も変化しました。何となく 5.00 ボルトへ設定してみました。すると端子間をショートさせた状態で電圧測定をするとゼロボルトとなりました。しかし抵抗値はわずかに残っていてゼロオームとはなりませんでした。

この状態で電池などを CD771 と比較しながら電圧計測すると 0.05 ボルト程度の差異に収まっている状態でした。結局 CD771 の値に合わせるように 2506A の校正を行った状態となりました。実用的な測定ではこの状態でも十分に使えると思いました。しばらくこの状態で使ってみたいと思います。

リチウムボタン電池を測定中です。
マンガン乾電池を想定中です。
2.2KΩ の抵抗器を測定中です。
不調のときには 2.2KΩ を全く計測できませんでした。


0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。