2015年6月5日金曜日

FON2100E のメモリチップ交換(増量)

以前から興味があった無線LANルータのメモリチップを交換して、メモリ容量を増加させる工作を行なってみました。

今回メモリチップの交換を行った FON2100E です。

今回は最初ということで、ネット上でも交換実績のある FON2100E の 16MB の SDRAM を 32MB の SDRAM へ交換してみました。交換作業に当たっては、下記のウェブサイトを参考にしました。

fonera(2100)のメモリを32MBに交換 | The End Of Civilization
https://awaitingstock.wordpress.com/2012/02/12/fonera2100%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%A2%E3%83%AA%E3%82%9232mb%E3%81%AB%E4%BA%A4%E6%8F%9B/

LaFonera Hardware 32MB SDRAM MOD - DD-WRT Wiki
http://www.dd-wrt.com/wiki/index.php/LaFonera_Hardware_32MB_SDRAM_MOD

我が家には二台の FON2100E があります。このうち最初に入手したものを改造に使用しました。この一台目の FON2100E は、今までに DD-WRT や OpenWRT などのファームウェアをインストールを行なって、実際に順調に稼働した実績のある個体です。しかし二台目の FON2100E はシリアルコンソールが不調であるなど、メモリ交換後に異常が発生した場合に原因の切り分けが難しくなる可能性があったため、一台目の FON2100E を使用することとしました。

交換用メモリ探し

まず最初に交換するメモリを探し出すことから始めました。これが結構大変でした(笑)。
元々 FON2100E に搭載されていた 16MB の RAM は HY57V281620ETP-H という型番で、メモリ容量が 4bank x 2M(word) x 16bit で、速度が 133MHz の規格の SDRAM でした。この一枚で 16bit 幅のデータの入出力ができるものです。

FON2100E に元々搭載されていたメモリチップ(HY57V281620ETP-H)です。

倍増するには、メモリ容量が 4bank x 4M(word) x 16bit で、速度が 133MHz の規格の 32MB の SDRAM を探さなければなりません。手持ちのデスクトップ用のメモリカードやノートパソコン用のメモリカードの表面を眺めては、型番をネット上で検索してメモリの規格を調べました。そしてようやく一枚のノートパソコン用のメモリカードを探し出しました。

探しだしたメモリカードです。
8チップで 256MB のものが適合する可能性があります。

表面のラベルから ThinkPad で使用されていたもののようですが、現在は使用していないものでした。表面のメモリチップの型番は M2V56S40TP-6L でした。このメモリチップの規格を調べると、上記の必要とする 32MB の SDRAM の規格にピッタリです。上記の二箇所の参考ウェブサイトでは K4S561632C のメモリチップを使用していますが、規格が同一であれば交換可能です。

発見した交換用のメモリチップ(M2V56S40TP-6L)です。

メモリカードからメモリチップを取り外す

まず最初に、メモリカードからメモリチップを取り外す作業から始めました。何しろ、このメモリチップが上手く取り外すことが出来なければ、これ以降の作業は無効となってしまいますから・・・。

いわゆる「盛りハンダを」を行なって、ハンダに蓄熱して、すぐにハンダが冷えないうちに、数多くあるメモリチップの足をプリント印刷基盤のパターンから外してしまう方法です。

メモリチップの足の周囲にハンダを盛りつけているところです。

コツは無駄になってしまう盛りハンダに十分なハンダを加えることです。ケチると、すぐにハンダが冷えてしまうので、パターンが剥がれたり、メモリチップの足が折れる(切れる)などのトラブルの原因となります。

メモリチップとプリント印刷基盤の間にカッターナイフなどの刃先をハンダが緩む度に差し込んで行き、だんだんとメモリチップを持ち上げて取り外します。チップの隙間の空間が広くなってくると、安定してつかめるピンセットに交換しました。

盛りハンダの手法でメモリチップを取り外しているところです。

メモリチップを撤去する場合などは、片側の足だけを集中的にハンダで温めて片側だけを外した後、もう片方の足を外すようにすると上手く行きます。しかし、この場合メモリチップの足が曲がってしまうため、後々の作業で苦労することとなるため、再利用するメモリチップの場合には、左右の足を交互に暖めながら両方を同時に外す感じで取り外すことをお奨めします。

メモリカードからメモリチップを取り外したところです。

取り外したメモリチップに付着している大量のハンダをハンダの吸取り線で綺麗に掃除します。これで交換用のメモリチップの準備はできました。

再利用のため、メモリチップに付着したハンダを掃除しているところです。
ハンダの吸取り線は必要な長さに切り出して使用するのがコツです。


FON2100E からメモリチップを撤去

いよいよ FON2100E からメモリチップを撤去します。周囲には小さな表面実装の抵抗器やコンデンサがありますので、これらも一緒に外してしまわないように注意しながらの作業となります。

作業の方法は、上記のメモリカードからメモリチップを取り外したのと同様の作業で行いました。

メモリチップを盛りハンダの手法で外しているところです。
写真では見えませんがハンダゴテでハンダが緩んだところで、カッターナイフを差し込んで行きます。

プリント印刷基盤の上に残ったハンダは、ハンダの吸取り線で綺麗に掃除をしてきました。ハンダが他の電子部品に掛かって、ハンダに部品が持っていかれないように注意しなければなりません。

メモリチップを取り外した直後の様子です。


メモリチップの取り付け

アルコールで綺麗にプリント印刷基盤とメモリチップを洗浄しました。 そして念の為に、もう一台の FON2100E と比較して、部品が無くなっていないか・・・などの確認を行なっておきました。ところどころ元々部品が存在しないパターンの存在するため、これらの確認は重要です。事前に写真を撮影してそれと比較するのもよい方法です。

部品の洗浄を行なって、これからハンダ付けを行うメモリチップです。

ハンダ付けは、まず角の一箇所を仮止めした後、位置決めをしっかり行なって、他の角のピンをハンダ付けして、残りの全体のハンダ付けを行いました。

今回の作業では、再利用のメモリチップを使用していることもあり、メモリチップの足が均一にプリント印刷基盤の表面に接触する状態ではありませんでした。そのため、メモリチップを装着後の第一回目の確認では FON2100E は起動しませんでした。何度かメモリチップのハンダを追いハンダをして、正常に動作するようになりました。動かなったときには、メモリチップを壊してしまったのか、どこかパターンを切ってしまったのかと心配になりました(汗)。

新しく搭載した 32MB のメモリチップ(M2V56S40TP-6L)です。

動作確認と RedBoot の更新

メモリチップを交換した後、電源アダプタへ接続して、FON2100E が動作するか確認しました。上記の通り、最初のうちは動作しませんでした。動作しないときには、各部をルーペで観察しては、メモリチップへ追いハンダをするなどの処置を行いました。


ようやく起動を開始して、シリアルコンソールからも信号が出力されるようになりました。

メモリを増量して、動作確認中の FON2100E です。

どうも FON2100E で動作するファームウェアは、RedBoot からのメモリ容量の値を読み取って設定を行なっている模様です。そのままでは、以前の 16MB のメモリ容量の認識となってしまうようです。これを解消するために 32MB と認識する RedBoot に書き換える必要があります。下記の通りの手順で行いました。

32MB へ対応した RedBoot の詰め合わせ(fon-redboot.rar)は、参考ウェブサイトのリンク先からダウンロードしてきました。

TFTP サーバが稼働しているパソコン(Debian Wheezy)の IP アドレスを手動で 192.168.1.2 に設定しました。そしてパソコンの TFTP サーバの管理ディレクトリ(/srv/tftp)へ 32MB のメモリ容量に対応した RedBoot (ap51-8mb-32mb.rom) を配置しておきます。

シリアルコンソールから以下のコマンドで TFTP サーバから RedBoot を吸い上げて、書き込みを行います。(FON2100E の起動時の IP は 192.168.1.254 になっています。)
ip_address -l 192.168.1.254/24 -h 192.168.1.2
load -r -b %{FREEMEMLO} ap51-8mb-32mb.rom
fis create RedBoot
fconfig 
(不要でした)

最後の fconfig で質問がありますが、単純なリターン(Yes の意)で大丈夫です。

この後、再起動させると RedBoot が 32MB のメモリ容量を認識して起動を開始します。

筐体を組み立てなおした FON2100E です。

このメモリチップを交換した FON2100E には Gargoyle 1.2.5 がインストールされていましたが、この Gargoyle の設定画面でも 32MB の容量を認識していました。


今までの 16MB のメモリ容量では動作がカツカツだったので、OpenWrt などで新しいパッケージをダウンロードしようとするとメモリ不足のためにダウンロードの時点で停止してしまうことも少なくなると思います。これから FON2100E で遊ぶのが楽しくなりそうです。

FON2201 では

今回 FON2100E でメモリチップの交換が成功したため、 FON2201 でも交換をしたいと思っています。しかし問題がありそうです。メモリチップは M12L128168A-7T で、メモリ容量が 4bank x 2M(word) x 16bit で、速度が 143MHz となっていました。一般的なノートパソコンなどの SDRAM では 133MHz の動作速度のものが使用されています。どうも動作速度が足りないようです。おそらく交換したら それなりに動作するものと思われます。しかし規格外で動作のため、チップの温度が上昇すると、動作不良を起こす可能性もあります。対応した 143MHz のメモリチップが入手できれば交換したいところですが、入手が困難と思われるため 133MHz のメモリチップで可能性に賭けてみるか思案中です。



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